一口に製造業といっても、業種によって、固定資産の規模や内容が異なります。
例えば、装置産業とされる化学工業、鉄鋼業などでは、固定資産の価額はズバ抜けて多い半面、加工度の高い業種とされる精密機械工業、医薬品工業などの場合にはそれほど多くありません。
このような固定資産に対する投資が設備投資と呼ばれます。
国際化時代の下で、国際競争の荒波に耐えることが各企業に必要とされ、また、技術革新が根強く進展している現状では、設備の近代化、合理化が急務とされています。
当然、設備投資が取り上げられます。
加えて省力化や環境対策などのためにも設備投資が行われています。
固定資産の勘定は、大別して三つに分かれます。
有形固定資産、無形固定資産、投資等です。
資産評価の原則は取得原価主義であり、取得価額に基づいて評価します。
この取得価額が資産評価の基準になります。
これに対して購入価額は商品などを買い入れた値段です。
購入価額のほかに引き取りに要する費用、例えば引取運賃や保険料などを支払いますが、これらを加算したものが取得価額です。
法律上の権利ですが、特許権は会社が新しく技術を開発して特許を取得した場合、それに要する試験研究費が特許権として計上されます。
商標権は自社の商品について需要者が親しみやすく、憶えやすい名称をつけ、他社の競合する商品と識別するために設定されます。
例えば医薬品のビタミン剤の名称や食料品の菓子類、清涼飲料水などに付けられた各種の名称が想起されましょう。
側線(鉄道引込線)専用権などの権利を取得するための対価です。
第三の営業権は、他の企業とくらべて超過収益力を持っている場合です。
この超過収益力は、例えば商号、商標などがよく知れわたり、販売活動で優位に立つことができる場合とか、販売店の立地条件がよいとか、技術が優れている場合などに発生します。
いわゆる“のれん”がこれに相当します。
この“のれん”の内容は、漠然としたところがありますから、企業が任意に計上すると、資産が水ふくれして、企業の経営の基礎を不健全なものにします。
このため、その計上は厳格に行う必要があります。
「商法」では、“のれん”は有償で譲り受け、または合併により取得した場合に限り、貸借対照表の資産の部に計上できること、及び五年内に償却することを定めています。
「企業会計原則」でも営業権という表現で同じような規定がみられます。
取引先の会社の株式あるいは出資金、長期貸付金などが主なものです。
経済の仕組みが複雑となり、一方では海外に進出して現地法人(略して現法ともいいます)を設立していますから子会社、関連会社が増えています。
経営の総合化、多角化が進み、親会社の系列化政策が進展するにつれて、この投資勘定は脚光を浴びます。
製品を製造する場合に材料、人の労力、機械などの設備や資金などが必要であることは、いうまでもありません。
したがって、製品の原価を計算する場合、材料には材料費、人の労力には労務費、借入金には金利といった具合に配分します。
この場合、機械にも同じように配分し、これを減価償却費と呼びます。
機械だから配分をしなくて、ただですませるという考え方は、材料費や労務費などをゼロと仮定して計算することが通用しないのと同様に正しくありません。
機械を採用しますと人の労力が節約されるものですが、これは、その分、機械が生産に貢献していることを物語ります。
では減価償却費はどのようにして計算するのでしょうか。
材料費や労務費などとは少し違います。
機械を買って一度、使い始めると、その市場価額は急速に減少します。
これを減価と呼びます。
日常生活でも、自動車や家庭電化製品などを使っていますと古くなりますが、その中古品の値段は新品と比べると比較にならないほど安くなることは例をあげるまでもありません。
この減価した分を費用として扱い、減価償却費と呼びます。
機械には耐用年数というものがあります。
機械を使用する場合、無限に稼働させることはできませんし、ある年数が過ぎると機械の働きが低下します。
また、技術進歩の結果、型や性能なども陳腐化し、従来よりも性能が優れた新鋭機械が出現するのが普通です。
したがって、この耐用年数を正しく判断することが大切な問題です。
次は残存価額です。
機械は使用していますと減価しますが、全くゼロになるわけのものでもありません。
スクラップバリューといわれるように残存分の価格があるわけです。
したがって、減価償却費の計算には、取得価額と残存価額とを考慮して、その機械の耐用年数にわたって費用を配分することになります。
これまでは機械を取り上げて説明してきましたが、こうした事情は広く固定資産全般についてあてはまります。
減価償却は、土地や建設仮勘定を除くすべての有形固定資産さらに無形固定資産(ただし、地上権、借地権、電話加入権などは除きます)にも適用されます。
建設仮勘定はまだ設備が完成していませんから、これに適用しないのはいうまでもありません。
ここで改めて、固定資産の減価償却費の計算をみましょう。
計算方法としては定額法、定率法、級数法、生産高比例法などが主なものです。
定額法と定率法を比べますと、資産の取得直後は、減価償却費は定率法による方が定額法よりも多いわけです。
しかし、年数がたちますと、定額法では毎年、減価償却費は同額ですが、定率法では年々、少なくなり、ついには、定額法によるよりもはるかに少ない額ですむようになります。
経済・産業界では技術の進歩は速く、企業の持つ固定資産は、早期に更新せざるを得ない例は少なくありません。
予定していた耐用年数に達しないうちに取り替えることをよぎなくされることになります。
こうした事情から、早い時期に投下資金を多く回収できる定率法が一般に推奨されています。
また、特別償却という制度があります。
これは「租税特別措置法」によるもので、合理化機械、公害防止設備などについて、通常の減価償却(これを普通償却と呼びます)の別わくとして認められているものです。
これは、企業の合理化を促進するなど政策目的から特に認められているわけです。
こうした普通、特別の償却額の計算には、いずれも税法上の限度があります。
この限度内の額を償却しますと法人税は掛かりませんが、企業では限度を超えて償却を行う場合があり、これを超過償却と呼びます。
もちろん、超過分は損金として処理することはできませんから、利益の一部として課税されます。
このため、有税償却とも呼ばれています。
「計算書類規則」では、原則として、有形固定資産のうち減価償却が必要な項目について、それぞれ、その取得価額を記載し、それから減価償却累計額を控除して帳簿価額を記す方式を定めています。
本来の方式は、実例の通りです。
有価証券報告書では、この方式が普通です。
ただし「計算書類規則」では、それに代えて、例外として、貸借対照表には帳簿価額を記し、減価償却累計額は、注記する簡便な方式も認められています。
この方式には、減価償却累計額を科目ごとに記すのと一括して記載するのと二通りありますが、各社の実情は、一括記載するのが通例となっています。
こうして、「計算書類規則」に基づいて減価償却の実施状況を記載する場合は、簡便な注記方式、それも一括記載の方法が一般に行われているわけです。
この方式によると減価償却累計額は当期までに実施した合計額です。
したがって、当期の減価償却累計額から、前期の貸借対照表の注記に記載の減価償却累計額を差し引くと当期の減価償却費を知ることができます。
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